求人情報に書いてある「条件」と、「雇用契約の内容」の関係は、以下のとおりです。
求人情報の提示条件 ≠ 雇用契約の内容
そのため、主に面接の場で、雇用契約の内容を確認しなければなりません。
最低限、何を確認したら良いのか?
今回の記事は、そんな疑問や不安を解消したいと思います。
法律を根拠にお伝えします。
(行政書士試験合格済です。試験科目は憲法・民法・商法・行政法等です。)
契約とは:求人情報の条件が「契約内容でない」?
求人情報の条件は、あくまでも「条件」を提示しているだけです。
もちろん、ものすごく異なる条件は想定しなくて良いかと思います。(大幅に異なる情報を載せているとしたら、虚偽の求人になってしまい、求人の申し込みの効力に疑問が生じます。)
よく見かける求人情報では
「賃金:○○円~○○○円」「勤務日:週2~5日」というものがあります。
これらは、応募者とお話し合いの余地がある例です。
他の条件面も、お話し合いによって決めることが可能です。
契約自由の原則
一般的に、契約は「当事者同士の合意」で成立します。
そして「契約自由の原則」というものがあり、契約の内容は、当事者同士で自由に決めることができます。
なので、私は、例えば「賃金○円」と幅を持たせていない求人であっても、面接時に口頭で確認をするようにしています。
ハローワークのサイトでも、詳しい求人情報の一番上に、以下の文言が出ています。
(この画像の下に文字を入れています。字が見えにくい場合は、画像下の文字をご覧ください。)
( ↑↑ “この画面で表示される求人情報は雇用契約書ではありません。採用時には必ず、書面により労働条件の明示を受けてください。” と書かれています。)
大事な部分は、ぜひ、書類を交わす前に、面接の場で確認していただきたいです。
そして、採用時には、雇用条件の書面を受け取り、「面接時の内容のとおりか?」を確認します。
最低賃金
最低賃金は、「最低賃金法」という法律で決まっています。
最低賃金は、都道府県ごとに決められています。
毎年10月に最低賃金が変更になります。
多くの事業所では、最低賃金を守っていると思いますが、
- 人を雇うことに慣れていない事業所
- 本社が他の都道府県にある事業所
・・・においては、労働者も注意が必要です。
Webサイトで、最新情報を確認してから面接に向かうと良いでしょう。
最低賃金Webサイト:厚労省「地域別最低賃金の全国一覧」
根拠条文:労働基準法第28条
休日
労働基準法第35条に次のような規定があります。
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
注:「使用者は~与えなければならない」が35条1項、②は35条2項です。
実は、労働法上は週1日休めればOKなのです。
しかも、第2項のように、特例もあります。
求人情報に書かれている条件を予め確認し、面接の場でも確認をしたいです。
雇用期間について:有期か無期か、有期なら更新は?
雇用期間について、
- 期間の定めがあるか
- 期間の定めがある場合、更新の可能性はあるか
- 更新の可能性がある場合、条件は何か
・・・を確認する必要があります。
有期雇用について:参考・厚労省Webサイト
上記ページのこちらをクリックすると詳細がわかります(PDF)→「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」
休憩時間
勤務中の休み時間について、法律は以下のように書いています。
(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
例えば、6時間ちょうどの勤務の場合、残業なしなら休憩時間がなくてもOKです。
しかし、6時間を超える場合(6時間1分以上)は、「勤務の途中で」休憩をはさむことになっています。
6時間以内の勤務であっても、決まった時間に休憩を取る決まりになっていれば、それはOKです。
条文は、休憩を「与えなければならないのに、連続勤務させている」ことを予防するためのものです。
- 一斉に休憩時間を取らない事業所
- パート勤務が少ない事業所
・・のような事業所では、注意して、確認した方が良いです。
交通費
労働法上、実は、交通費の支給は事業主の義務ではありません。
そのため、必ず確認したい事項です。
中には「6か月定期代を分割支給」なんていう事業所もあると聞きます(初めに6か月定期を買う場合はツラいですよね)。
ポイントとしては、
- 交通費の支給はあるか?
- 定期券の支給か?現金の支給か?
- 定期代を支給するにしても、どのような金額なのか?(1か月定期代?6か月定期代?)
- いつ払われるのか?
以上を、確認したいです。
社会保険の適用事業所かどうか
扶養を外れて勤務する場合は、社会保険(健康保険・厚生年金)がどうなっているか、確認したいです。
社会保険は、適用がある事業所と、適用がない事業所があります。
フルタイムなら健保組合がある・・と思っていたところ、実は加入していない事業所だという場合もあります。
就職先が健保組合に
加入していない
・かつ・
フルタイム勤務
ですと、国民健康保険に加入する手続きが必要になる場合があります。
また、年金に関しても、今まで、年金の第3号被保険者だった場合(厚生年金等加入者の配偶者)は、第1号被保険者(自営業者・学生等)に切り替えの手続きも必要になる場合があります。
したがって、
- ご自身が今、国保の被保険者なのか健保の被保険者なのか
- ご自身が今、年金の第1号被保険者であるか第2号か第3号なのかどうか
- 次の就職先では、社会保険の被保険者になるのかどうか
・・・以上によって、手続きが大きく異なります。今の立場をよく理解し、そして、応募先の状況を確認したいところです。
おわりに
働く上で、条件は大切です。
「ん?」と思わないような確認をする必要があります。
「求人情報に書かれているから、それでいい」・・ではありません。
最低限でも、
・賃金
・休日
・休み時間
・交通費
・社会保険
については、確認して、面接を終えるようにしたいです。
↑上記は、すべて、お金に大きく関わります。
納得するお話し合いになるように願っています。